初陣
「盗撮がしたい」
その気持ちを収めるためにオナニーをするが、すぐにムラムラしてきて気づけば盗撮動画を探していた。
病的だった。
働いてもいなかった為、外に出ることもなく気持ちがリセットされずダラダラと、そして悶々と過ごしていた。
ある時、ついに自分を抑えることが出来ずに埃を被っていたコンデジを握り締めて部屋を飛び出した。
「これから盗撮をする」
それを考えただけでも心臓がはじけ出しそうだった。
駅に着いて、改札から出てくる人間を見渡す。
平日の昼間、一人の20代前半の女性が人気のない出口へ続く階段に向かっていった。
すかさず僕もそれを追いかけて歩き始める。
女性が階段を登りはじめ、スカートがふわりと揺れた。
すかさず距離を詰めると、動画モードでポケットに忍ばせたコンデジを女性のスカートの中へと差し込んだ。
だが、コンデジを差し込むことに集中していまい、女性の踵に僕の腕が接触した。
女性が振り返ると同時にコンデジをポケットに突っ込むと「すいません」と小声でぶつかった事に謝罪をしながら、その場から足早に去った。
駅から離れ、人の通りのない路地に入ると僕はすかさずコンデジを取り出して動画を再生した。
小さなカメラの液晶が撮影した動画を再生したが、激しいのブレによってそこには何も写ってはいなかった。
パンツを撮影出来なかった落胆と何も写らなかったことへの安堵、そして何よりぶつかったことによってバレたかもしれないという恐怖を感じながら僕は帰宅した。